お口のにおいが気になりませんか?
「時には気がめいるほど気になってしょうがない」
と答える人は、きっと清潔好きで自分の部屋はいつもゴミ一つなく、清潔さに関しては生半可な妥協は許さないぞという、この姿勢こそ、おしゃれの基本と言えそうです。
私が新宿の東京医科大学病院に口臭外来を開設したのはもう10年以上前になります。
退職した現在も新潟県にある明倫短期大学付属診療所で希望者の診療にあたっています。
日本は豊かになったと言われたころから歯科や口腔外科へ口臭を気にする人たちがたくさんやってくるようになりました。
ところが、それまで口臭の治療など、ほとんどしたことがなかったのですから、私たちも大いに戸惑ったわけですが、経験を重ねていくうちにこれは早高給の治療の片手間で行えるものではなく、内科や耳鼻咽喉科、心療内科までにも目配りが行き届いた、総合的な対応が必要ではないか、ということで、口臭の専門外来を設けたわけです。
それ以来、2000人を超える人たちの口の臭いをかぎ、訴えを聞き、いわば「無臭化対策」に取り組んできたわけですが、どんな人が口臭を気にしているかというと、まず、清潔好きで、性に目覚め、ファッションに目覚める思春期の女性です。
次に、その年代から10年〜20年ばかり飛び越えて、子育てが終わり、心にも生活にも余裕が出てきて、再びおしゃれ気分に目覚めた50過ぎのご婦人方です。
また、男性もおしゃれになりましたので、最近は若い男性にも「気にする人」が増えています。
「口臭を気にする」といっても間違わないでくださいね。
隣の人の口のにおいが気になるというわけではありません。
今時、鼻をつまみたくなるほどの口臭をプンプンさせている人は、ちょっと珍しく、それほど多くはいません。「気にする」のは、他人の口臭ではなく、自分の口臭なのです。後でご紹介します、ある化学品のメーカー調査でも、「他人の口臭を気にする」人よりも「自分の口臭が気になる」人が多くなっています。
もちろん、自分の口臭と言っても、それほど強烈に匂うわけではないのですが、「わずかな不快臭でも許せない」というのは、おしゃれ心の表れにほかならないと思います。ヘアスタイルからシューズまでバッチリと決めたい時は、口臭への気配りも忘れないということでしょう。